【雑記】兄の結婚式を無になってやり過ごした話

昨日、僕のたった一人の兄弟、兄が結婚式を挙げた。

今まで友達の結婚式なら何度も出たが、兄の結婚式は当然初めてだった。

友達の結婚式に参加すれば『おめでとう』と『お幸せに』、そして『今日は楽しむぞ』でオールハッピーな一日を過ごしてきた。

だが、兄の結婚式はちょっと違っていた。

おめでとうお幸せにという気持ちはもちろんあるのだが、それ以外にどうにもうまく言葉で表せないモヤモヤした感情が渦巻いていたのである。

嫌ではない、不安もない、しかし落ち着かないという不思議な感覚なのだ。

この感覚は兄弟、姉妹の結婚式に出た人しかわからない感覚だと思う。

おそらく一生に何度も味わうことはないだろう。

そこで今日は兄の結婚式を、弟はどのような気持ちで過ごしていたのかを振り返り、昨日の不思議な体験を記しておきたいと思う。

結婚式

親族の控室~親族顔合わせまで

始まって間もないし、特に何かがあったわけでもないので余裕しゃくしゃく。

強いて言うなら出会う親族全員と、

「本日はおめでとうございます」

「こちらこそご足労頂きましてありがとうございます」

この会話を繰り返すBOTと化さねばならなかったのが辛かった程度である。

兄に言うならわかるんだけど、僕にまで『おめでとうございます』って言わなくてもいいと思うんだけどな。

新郎新婦入場~指輪の交換

式場に兄と義姉の姿が見え、その姿を笑顔で見送ったり泣くのをこらえたりしている人がいて、「ああ、結婚式が始まったなあ」と感じる時間になってきた。

なのだがそんな中、僕一人だけ終始真顔。

「こういうときどんな顔をすればいいかわからないの」この名台詞が心の中で反復する。

笑えばいいと思うよ?そんな簡単に笑えれば苦労はしねえんだ。

誓いのキス

ここで一気に感情ゲージの残量が0になる。

心を置き去りにして思考を止めることで事なきを得る。

別に言うほどのものか?と言われるかもしれないし、まあ大したことないのも間違いない。

ただ式中はその光景をどのような面持ちで見ればいいのか、ほんとにわからなかったのである。

例えるなら下ネタなんか話さない家族なのにテレビから急にピンクなシーンが流れてきて、居間が凍り付いたときの居心地の悪さに似ている。

もっともその居心地の悪さを感じていたのは間違いなく僕1人だけなのだが。

讃美歌~退場


キリスト教徒じゃないけど、讃美歌っていい曲だよね。

讃美歌のおかげでフェニックスの尾を使ったときくらいに回復した。

ドラクエの教会みたいに全回復してくれればよかったのだが、そんなに回復するはずもない。

記念撮影

真顔のまま撮影されるのはさすがに悪いと思ったので、残る力を振り絞って笑顔を作る。

途中カメラマンから、

「じゃあ次は何かポーズでも取りましょうか!」

と言われ、隣にいた叔父さん(50歳)と2人で手でハートを作りあったところがハイライト。

大切なことなので念のため記述しておくが、私たちはゲイではない。

披露宴

乾杯の音頭の前に

普通なら親族の席に座るべき立場なのだが、椅子と人数の関係で友人席に僕1人紛れ込む。

そのテーブルを囲んでいた同い年の女の子が1歳の赤ちゃんを連れてきていたため、一気にスーパーハイテンションに。

肌のぷにぷに具合、手を振って振り返してくれる天使具合が素晴らしい、おいちょっと可愛すぎるぞ。

この席にしてくれた兄夫婦に心から感謝を申し上げる。

乾杯~ケーキ入刀

披露宴は順調であった、乾杯の音頭もユーモアたっぷりにとって頂いたおかげで一気に感情を取り戻すことに成功。

赤ちゃんとお酒の力も借りてすっかり上機嫌になる。

ケーキ入刀あたりでいちゃつくだろうことは予想出来ていたため、ちょうどそのタイミングでトイレという安息地で一時を過ごす。

お色直し


来るんじゃないかなとはうすうす感じていたが、やはり僕の出番であった。

なにが嬉しくて野郎とお手手をつながなきゃならんのだ、俺はゲイじゃない(本日2度目)

兄のことは尊敬しているし、好きな人間なのも間違いない。

だが、だからと言って30近くにもなった男2人で手をつなぐのはいくら兄弟といえど、僕はやりたくない。

バンド演奏

兄が友達数人とジャズバンド活動をしているため、余興でやることになっていた。

披露宴という場にふさわしく、ノリのいい2曲を演奏し、大盛り上がりで余興を終えようとしたその時。

「はーい!すみません!新郎には内緒で実はもう一曲あるんです!」

お約束ってやつだな?知ってる知ってるよーこの流れ、進研ゼミで見たことあるやつだ!

「最後にお送りするのはあ・・・初めてのちゅー!!!」

ん?なに?はじめてのちゅー?んなもんもうさっき終わらせてるだろ何いってんだガハハ!(真顔)

もうこれ、この時点オチが読めた。

つまりはそういうことだよね。

さあ!みなさま!シャッターチャンスですよ!準備はよろしいでしょうか!」

OK、(心の)準備はすませたぜ。

「はじめて~の、ちゅー!」

はいキスシーン2回目、今日だけで何回真顔になればいいのか。

まとめると


兄と僕は恋バナとかそういった類の話を一切してこなかった、30年近く一度もしてこなかったのである。

それなのに急にそういう話をされても心が追い付かないのは当たり前なわけで。

結局僕には、兄が男女の関係を思わせる行動をすることが直視できなかった、それだけのことだったのだろう。

ただなんでも話せる兄弟関係だったとしても、所々複雑な感情が混ざりそうだなとも思った。

幼少期から恥ずかしい失敗もみっともない泣き顔も、お互いのことを見てきたわけだからな。

そういう記憶を思い出して現実の立派さとのギャップに戸惑うのは仕方ない気がする。

式自体はあたたかい雰囲気で執り行われたため、いい結婚披露宴だったと感じた。

親族も友人たちも楽しんで祝福してくれたみたいだし、料理もおいしかったしね。

色んな感情が渦巻き何度も無になり真顔でやり過ごしと、今まで参加した中で一番大変な結婚式だったが、最後はやっぱりこの言葉を送って締めたいと思う。

お二人とも結婚おめでとう、末永くお幸せに。